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O橋武 「大鎌」という高い壁。

マジかぁ!!この前のサークルの大会でO橋さん出たらしいじゃないっすか!!

だったら俺、日本帰ったのに!!

俺の大学生活、多くの尊敬する先輩の中で最も憧れた先輩。
正に、「キモく切なく、カッコいい」。俺の目指すものを持っている先輩。
数々のイベントでも遊びでも、もちろんテニスでも、俺達の会長として先輩として、思いも寄らないオーラで俺達を強く惹きつけた。

そう。

いまだに大きく圧し掛かる自分の中にある「大鎌」という高い壁。

忘れもしない1年の頃の市民大会。
ベスト8に残った俺達は「大鎌」を見た。特に準決勝の試合は心に強く焼きついている。

それは正にファンタジスタ。

見るもの全てを圧倒し、感動させ、応援させるという力がそこにはあった。
散歩の足を止めてしまうおじさん。あいつ等は誰だとささやく声が、観戦する俺達の後ろからいたるところで聞こえてくる。気がつくと応援してしまっている他の試合の参加者達。思わず「なんだ、あのフォアは!!」と喚声をあげる。

もちろんプロなんかじゃない。ましてや体育会でインカレを戦ってるわけでもない。ただの、小さな町の市民大会。
ただ強いだけじゃない。ただ勝つだけじゃない。見るもの全てを引き込んで、魅了し、味方にしてしまう。どんなに苦しい場面でも、ボールを取ってもらったら必ず「ありがとう」の一声がでる。二人のテニスを見ると俺達はなんのためにテニスをしているのか考えさせられる。
いつも圧倒的な強さで勝つわけじゃない。サーブに悩んだり、ストロークが入らなかったり、フォーメーションを変えてみたりして、いつも試行錯誤しながら悩みながらも「二人」でテニスをしている。この二人以上に「二人」でダブルスをする人にはいろいろな強いやつやコーチを初め、俺は会ったことがない。

「大鎌」は実に人間くさいテニスをする。


「大鎌」。鎌さんのほうに憧れる後輩は多いやろう。伝説のフォア。巻き込んでうねってラインぎりぎりに落ちてくる、最強のレフティ。簡単に例えるならば「シュートの漫画家がかいたステイゴールドの黄金の左」がうまく表現している。ほんとあんな感じ。アドサイドからのストレートのパッシングは、正に芸術。どんなに強い相手でも手も出ない。

でも、それでも俺はどうしてもO橋さんだった。

二人が試合している時、俺は一人「伝説のフォア」ではなく、それを打っているときのO橋さんの動きを必死に目で追っていた。「あ、ここで詰めるのか。うめえ!!」とかって、みんなとは違うところで感動してた。
実に多彩。キックサーブを中心に散らしていくサーブ。それに合わすオーストラリアンフォーメーション。ロブをあげたり、タッチでかわしたり、コーナーにスピンで落としたり、鎌さんのストロークで相手が崩れたところは、確実にポーチに出て仕留めていた。

O橋さんが二人のブレインになっていた。ポイント間、鎌さんに駆け寄って一言二言話しかける、それを真剣に聞いて頷く鎌さん。そんな光景が好きだった。
鎌さんがのってこないとき、そんな時に仕事をするのがO橋さん。のってくるまでその多彩な技と頭脳で、鎌さんを盛り上げ、点を稼ぐ。鎌さんがのってきたら、もう「二人」は最強。どんなやつと試合をしていたとしても、どんな点差でも決して諦めず、次はどんなプレーが出るんだろうとワクワクするような「奇跡」を起こしてくれる。

その「奇跡」。それはどこから来るんだろう。それは二人がお互い信じあっているという「信頼」。O橋さんの言葉を作戦を信じ、フォアを放つ鎌さん。それを信じてボレーに出るO橋さん。最後には仕留めてくれると信じている鎌さん。こんな理想の信頼関係は、簡単には生まれないだろう。1年の頃からペアを組み、かみ合わず悩んだこともあると聞いた。
こんな俺から後輩に偉そうに言うことはできないかもしれないが、ダブルスで勝ちたいと思っているやつは時間がかかっても良い。本当の「信頼関係」を築いて欲しいと思う。ま、自分に言いたいことなんやけど…。

いまだに大きく圧し掛かる自分の中にある「大鎌」という高い壁。
つまりはまだまだ超えられずにいるということ。どこまでやれるのか、挑戦したい。

勝ちたい。

自分の中で「大鎌」を越えられるようになったって思えるまでは、俺はテニスをやめることなんてできない。

勝ちたい。

超えたい。
by yusuke_0328 | 2005-08-19 19:52


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